【リニアモーターカーとは】名古屋開業が迫る超電導リニアの原理と仕組みを簡単に解説する

山梨の実験線で試験走行を開始してから長い年月が経ちましたが、いよいよリニアモーターカーの実現が近づいてきました。なんとなく浮かんで走るだとか、時速500km/hだとか、磁力によって人間の健康に害があるのでは、だとかいろいろな話を耳にしているでしょうが、いったいリニアモーターカーとはどのような仕組みなのでしょうか?かつて超電導に関わったことのある私がなるべく簡単に解説したいと思います。

 

リニアモーターカーの概要

リニアモーターカーの名称

さて、多くの皆さんはリニアモーターカーというと、JR東海が建設を進めている例の乗り物を想像すると思います。しかしそれは正確ではありません。リニアモーターカーにはもっと広い意味があるのです。全てが空中を浮かんで走行するわけでもありません。有名なものでは、都営大江戸線なども実はリニアモーターカーです。

では例の乗り物は何と呼べばいいのでしょうか?正解は超電導リニア(あるいは中央新幹線)です。中央新幹線というのは、東海道新幹線・東北新幹線と同様に路線の名称です。超電導リニアとは例の乗り物そのもののことを指します。そのためこの記事では今後、JR東海が建設を進めるリニアモーターカーのことを超電導リニアと表記します。

中央新幹線のルートと開業時期

中央新幹線の開業は、品川名古屋間が2027年、名古屋大阪間が2045年を予定しています。ルートは、品川駅、相模原市、甲府市、飯田市、中津川市、名古屋駅です。名古屋から大阪の間は奈良県を抜けるルートで一旦決着したようですが、京都府がすんなり身を引くとも思えません。今後も議論されるのでしょう。

 

超電導リニアの原理と仕組み

超電導とはなにか

さっそく本編に入ります。超電導リニアを知るためには超電導という現象がわからなければいけません。

超電導というのは、電気抵抗がゼロおよび完全反磁性となる状態のことを言います。物質には電気抵抗というものが存在することはご存知ですよね?よく言われるのは送電線の話なのですが、例えば発電所で作った電気を送電線に流すと、電気抵抗が存在することによって発電したすべての電気を家や工場などに送り届けることはできません。電気抵抗によって失われた分は、熱などとして送電線から放出されているわけです。そこで、もしこの送電線を超電導状態にできれば、電気抵抗がゼロとなるので、発電した電気をすべてそのまま送り届けられることになります。すばらしい技術ですね。

しかし実際は問題があります。超電導状態を発現できる物質のことを超電導物質などと呼ぶのですが、この超電導物質を超電導状態とするには、その物質を超電導転移温度以下にしなければなりません。この超電導転移温度というのは、日常では考えられないほど低い温度です。現在発見されている最高の超電導転移温度でもマイナス100℃付近であったと思います。つまりこの超電導技術を使っている超電導リニアは、巨大な冷却装置を搭載しており、床下で超電導物質を冷やし続けているということになります。

超電導についてはこのぐらいにしておきます。完全反磁性については、一応定義なので載せておきましたが、ここでは理解しなくても大丈夫です。

超電導電磁石とはなにか

次に超電導リニアではこの超電導物質を何に使っているのかという話をします。その答えは超電導電磁石です。電磁石というのは、コイルに電気を流すことによって磁力を発生させたものです。このコイルに流す電気が大きければ大きいほど、強い磁石を作ることが出来ます。聞き覚えのある話ですね?

ようするに、超電導物質でできた電気抵抗がゼロのコイルに大電流を流せば、桁違いに強力な磁石を作ることができます。これが超電導電磁石です。

超電導リニアが浮かぶ仕組みと走る仕組み

さて、このようにして作られた強力な磁石を車体とレール上に置き、反発させることによって超電導リニアは空中に浮かび上がることが出来ます。このようにして空中に浮かび上がるタイプのリニアモーターカーを磁気浮上式といいます。超電導リニアの場合、浮かび上がる高さは10cm程度だそうです。これに対して浮かび上がらない都営大江戸線のようなタイプを鉄輪式と言います。

超電導リニアは、車体とレール上にある磁石のS極とN極を高速で交互に入れ替え続けることにより、反発力と引力で前に進みます。これが超電導リニアの浮かぶ原理と走る原理です。

超電導リニアは安全なのか

超電導技術には懸念されていることがあります。1つには、強力な磁場が人体に影響しないのかということ。2つには、超電導状態が不測の事態によって解除されてしまい、墜落することはないのかということです。1つ目に関しては、強力な磁場の影響を受けることがないように、乗車の際は飛行機の搭乗口のような特殊なゲートを通ることで対策をしているようです。また2つ目についても、これまで長年研究してきた成果により、超電導状態の突発的な解除を防ぐ技術が確立されているそうです。詳細は不明ですが、信頼して乗車するしかないですね。