【経営戦略の入門書】経営戦略研究会著 「この一冊ですべてわかる 経営戦略の基本」が扱う戦略論について

私は経営戦略論について興味を持ち、入門書にあたる書籍をいくつか読んできました。その中でも最もわかりやすくまとまっていたのがこの本です。そこでこの本では主にどのような戦略論を扱っているのか、簡単にまとめておきます。

下記の内容は本書第2章の内容です。本書では戦略論の紹介のほかにも、戦略を活かす職場の仕組みづくりや戦略論の実践的な活用例についても紹介されます。管理者ではないため、全社戦略や組織論については理解できない箇所もあったのですが、全体的にとてもわかりやすくおすすめの本です。

 

環境分析

企業の状況を分析するためには外部からの分析と内部からの分析が必要です。PESTと5Forcesは外部環境分析バリューチェーンとVRIOは内部環境分析3CとSWOTは両者の複合となっています。

経営者であれば外部環境分析から必要なのでしょうが、それ以外の社員であれば内部環境分析が最も活用機会の多い手法になると思います。ただしVRIO分析も組織論にまで入っていくので、身近に活きる手法はバリューチェーン分析となるのでしょうか。

PEST分析

PESTとはpolitics(政治)economy(経済)society(社会)technology(技術)の頭文字です。政治は、法律や訴訟など。経済は、景気や輸入出動向など。社会は、人口やトレンドなど。技術は、技術革新や特許など。の要素にさらに分割されます。

これらは外部要素の重要なものをMECEに分解して取り出したものであり、この中から自社に重要な要素を抽出する分析手法となります。

5Forces分析

提唱者はポーターです。これは企業の収益性に影響のある5つの要素を抽出したものになります。5つの要素とは、業界内の敵対関係新規参入の脅威代替品の脅威供給者の交渉力顧客の交渉力です。

業界内の競争が激しい場合、業界の魅力は下がります。次に新規参入の障壁が低い場合も業界の魅力は下がります。代替品が存在する場合も魅力は下がります。この場合特に、自社事業の本質は何かをきちんと見極めないと罠に陥ります(後述のマーケティング近眼視です)。また、供給者の交渉力が強い場合も魅力は下がります。最後に顧客の交渉力が強い場合も魅力は下がります。

バリューチェーン分析

提唱者はポーターです。まず企業の活動を主活動支援活動に分類します。支援活動とは、全般管理、人事労務管理、技術管理、調達活動などです。主活動は中心となる業務です。さらに主活動を上流から下流まで並べて、各要素を分析するのがバリューチェーン分析です。これにより企業の活動をMECEに分解して取り出したことになります。このうち最も重要な要素がどこであるか合わせて分析する必要があります。

VRIO分析

提唱者はバーニーです。VRIOとはvalue(価値)rarity(希少性)inimitability(模倣困難性)organization(組織)の頭文字です。これらがすべて揃っている資源は優位であるということになります。価値がなければ競争劣位、希少でなければ競争均衡、模倣可能であれば一時的な競争優位です。模倣困難で持続的な競争優位性を得たとしても、組織が適切でなければ資源が成果につながりません。

3C分析

3Cとはcustomer(顧客)competitor(競合)company(自社)の頭文字です。顧客、競合は外部環境分析、自社は内部環境分析となります。競合分析にはVRIO、自社分析にはバリューチェーン分析などが活きてくるでしょう。これらを複合し、自社の重要な要素を把握します。

SWOT分析

SWOTとは、strengths(強み)weakness(弱み)opportunities(機会)threats(脅威)の頭文字です。

SWOT分析では、内部環境の強みと弱み、外部環境の機会と脅威をそれぞれ軸に取り、分析結果を分類します。これを元に、強みの市場機会を発見できないか、強みで市場の脅威を回避できないか、弱みで市場機会を逃さない打ち手はあるか、など検討していきます。

 

事業領域設定

マーケティング近眼視

基本理念や環境分析を元に適切な事業領域を設定しますが、その際に適切な範囲を設定しないと見誤るというのが、マーケティング近眼視です。例えば鉄道動会社が自社事業を鉄道事業と考えるのは誤りで、これを輸送事業と考えなければ、自動車や飛行機など脅威の分析を怠ってしまうということになります。

CFT

マーケティング近眼視に陥らず適切な事業領域設定をするための方法がCFTです。CFTとはcostomer(顧客)function(機能)technology(技術)の頭文字で、どんな顧客に、どんな機能を、どんな技術で提供するのかをまず考えましょうという手法です。

 

事業戦略策定

3つの基本戦略(ポーター)

3つの基本戦略は、業界内で競争優位性を築くための戦略を3つ挙げたものです。その3つとは、コストリーダーシップ戦略差別化戦略集中戦略です。

対象を業界全体とした場合、低コストを目指して競争優位性を得るのがコストリーダーシップ戦略です。また対象を業界全体とした場合、他の企業が持たない特徴で競争優位性を得るのが差別化戦略です。最後に、業界の特定分野に資源を集中を競争優位性を得るのが集中戦略です。

競争地位別の戦略類型(コトラー)

競争地位別の戦略類型は、業界の地位によって取るべき戦略を分類したものです。業界の地位は、リーダーチャレンジャーニッチャーフォロワーに分けられます。

リーダーは全方位に展開し周辺市場にも対応します。チャレンジャーはリーダーとの差別化を目指します。ニッチャーは特定分野への集中化が中心です。フォロワーは模倣を基本とし、ニッチャーまたはチャレンジャーとなることを目指します。

 

全社戦略

全社戦略についてはどれも聞いたことのある内容でしたが、立場上あまりピンと来ない部分も多かったので少しの紹介にとどめます。

成長ベクトル

製品(既存or新規)と市場(既存or新規)で軸を取り、企業がどの分野や市場で事業展開すべきか検討する手法が成長ベクトルです。事業を多角化する際に用います。

PPM

市場成長率と相対的マーケット市場で軸を取り、スター、問題児、金のなる木、負け犬に分類する手法です。正式にはプロダクトポートフォリオマネジメントと言います。これは有名な考え方なので多くの方がご存知だと思います。

コア・コンピタンス

PPMには限界があります。PPMの考え方は、市場は導入、成長、成熟、衰退の4期を辿るというプロダクトライサイクル理論が前提にあります。しかしそれに当てはまらないものもあります。そこで編み出されたのがコア・コンピタンスです。これは、事業地位と業界魅力度に分類して事業の資源配分を検討する手法です。